リモートワークで衰えがちな体幹を自宅で鍛える自重トレーニング
リモートワークで運動不足を感じる方へ:体幹トレーニングの重要性
リモートワークが一般的になり、自宅で過ごす時間が増えた方も多いかと存じます。通勤がなくなった、会議がオンラインになったなど、生活スタイルの変化に伴い、座っている時間が長くなったと感じる方もいらっしゃるかもしれません。このような状況では、運動不足が懸念されるだけでなく、特定の部位に負担がかかりやすくなることもあります。
特に、長時間同じ姿勢で座っていると衰えやすいのが「体幹」です。体幹は文字通り、体の幹となる部分であり、お腹周り、背中、腰、お尻などの中心部を指します。この体幹の筋肉が弱まると、姿勢が悪くなる、腰痛や肩こりの原因になる、疲れやすくなるといった影響が出やすくなります。
しかし、ご安心ください。体幹は特別な道具がなくても、ご自宅で手軽に鍛えることができます。本記事では、リモートワーク中に衰えがちな体幹を効果的に鍛えるための自重トレーニング方法をご紹介いたします。
体幹とは何か、なぜリモートワーカーにとって重要なのか
体幹とは、頭と四肢(手足)を除いた胴体部分全体を指します。腹筋、背筋、骨盤周りの筋肉などが含まれ、これらの筋肉が連携して働くことで、私たちの体は安定し、スムーズに動くことができます。
リモートワーク中に体幹が衰えやすい理由の一つは、座っている時間が長いことです。椅子に座っているだけでは、体幹の多くの筋肉は十分に活動しません。特に、デスクワークで前傾姿勢になったり、猫背になったりしやすい方は、体幹の正しい使い方ができず、特定の筋肉ばかりに負担がかかり、かえって衰えを加速させてしまうこともあります。
体幹を鍛えることで得られるメリットは多岐にわたります。リモートワーカーの方々にとっては、以下のような利点が期待できます。
- 姿勢の改善: 体幹が安定すると、自然と正しい姿勢を保ちやすくなります。これにより、見た目が良くなるだけでなく、長時間の作業による体への負担を軽減できます。
- 腰痛・肩こりの予防・軽減: 体幹は背骨や骨盤を支える重要な役割を担っています。体幹が強化されることで、これらの不調が起こりにくくなったり、緩和されたりすることが期待できます。
- 集中力の維持: 姿勢が整い、体の不調が減ることで、デスクワークに集中しやすくなります。
- 全身運動の質向上: 体幹はあらゆる運動の土台となります。体幹がしっかりしていると、これからご紹介する自重トレーニングだけでなく、ウォーキングや他の運動を行った際のパフォーマンス向上にも繋がります。
自宅でできる体幹自重トレーニング種目
ここでは、特別な道具を使わずに自宅で気軽に取り組める、初心者の方にもおすすめの体幹トレーニング種目をいくつかご紹介します。それぞれの種目について、正しいフォームと注意点を解説いたします。
1. プランク (Plank)
体幹トレーニングの代表的な種目です。腹部を中心に、体幹全体を強化できます。
- 方法:
- うつ伏せになり、肘を肩の真下に置き、前腕を床につけます。
- つま先を立て、体を床から持ち上げます。頭からかかとまでが一直線になるように意識してください。
- お腹を凹ませ、お尻を締め、体幹全体に力を入れます。
- この姿勢を一定時間キープします。最初は20秒から始め、慣れてきたら時間を伸ばしてみてください。
- 注意点: 腰が反ったり、逆にお尻が高く上がりすぎたりしないように注意してください。頭が下がらないように、視線は床を見るようにします。呼吸は止めずに行いましょう。
2. サイドプランク (Side Plank)
プランクの応用で、脇腹(腹斜筋)を中心に鍛えられます。
- 方法:
- 体の側面を下にして横向きになり、片側の肘を肩の真下に置き、前腕を床につけます。
- 足を揃え、体を床から持ち上げます。頭から足先までが一直線になるように意識します。
- 反対側の手は天井方向に伸ばすか、腰に添えても構いません。
- この姿勢を一定時間キープします。片側が終わったら、反対側も同様に行います。
- 注意点: 体が前後に傾いたり、腰が落ちたりしないように注意してください。常に体側が床と平行になるようなイメージで行います。
3. バードドッグ (Bird Dog)
手足の協調性を養いながら、体幹、特に背中側の筋肉や臀筋を鍛えることができます。
- 方法:
- 四つん這いになり、手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きます。
- お腹を軽く凹ませ、体幹を安定させます。
- 息を吐きながら、片方の腕と反対側の足を同時にゆっくりと伸ばします。体と伸ばした手足が一直線になるように意識してください。
- 息を吸いながら、元の四つん這いの姿勢に戻ります。
- これを左右交互に繰り返します。
- 注意点: 手足を伸ばす際に、体がグラついたり、腰が反ったりしないように注意してください。動作はゆっくりとコントロールして行いましょう。
4. ドローイン (Draw-in)
腹部の深層にある腹横筋を活性化させるための基本的な呼吸法です。座ったままでも、寝たままも行えます。
- 方法:
- 楽な姿勢(椅子に座る、床に仰向けになるなど)をとります。
- 息を大きく吸い込み、お腹を膨らませます。
- 息をゆっくりと細く長く吐き出しながら、お腹をへそを中心に背中に近づけるように最大限に凹ませます。
- お腹を凹ませた状態を数秒キープします。
- これを数回繰り返します。
- 注意点: 呼吸に合わせてお腹を意識的に動かすことが重要です。肩や首に力が入らないようにリラックスして行いましょう。
5. クランチ (Crunch)
腹直筋(いわゆる腹筋)を鍛える基本的なトレーニングです。
- 方法:
- 仰向けになり、膝を立てて足裏を床につけます。
- 両手は胸の前でクロスするか、耳の横に軽く添えます(頭を引っ張らないように)。
- 息を吐きながら、お腹を丸めるようにして上半身を起こします。肩甲骨が床から離れる程度で十分です。
- 息を吸いながら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
- これを繰り返します。
- 注意点: 首だけで起き上がろうとせず、必ずお腹を意識して丸めるように行います。腰は床につけたままで、完全に起き上がる必要はありません。
正しいフォームで効果を最大化するために
これらの自重トレーニングは、正しいフォームで行うことが非常に重要です。フォームが崩れていると、目的の筋肉にうまく効かせられなかったり、体に余計な負担がかかってしまったりする可能性があります。
初めて行う種目については、インターネット上の動画サイトなどで、正しいフォームを確認しながら実践することをおすすめします。可能であれば、鏡を見ながら行うと、ご自身の姿勢をチェックしやすくなります。
継続するためのヒントとメニュー例
自重トレーニングの効果を実感するためには、継続が鍵となります。リモートワークの合間に、無理のない範囲で習慣として取り入れることを目指しましょう。
初心者向けメニュー例:
- プランク:20秒キープ x 2〜3セット
- サイドプランク:左右 各20秒キープ x 2〜3セット
- バードドッグ:左右交互に 各10回 x 2〜3セット
- ドローイン:10回 x 2〜3セット(デスクワーク中に座ったまま行っても良いでしょう)
- クランチ:10〜15回 x 2〜3セット
継続のためのヒント:
- 短い時間から始める: 一度に長時間行おうとせず、まずは10分程度でも良いので、毎日または週に数回行う習慣をつけましょう。
- タイミングを決める: 朝起きてすぐ、ランチ休憩前、就業後など、トレーニングを行うタイミングをあらかじめ決めておくと忘れにくいです。
- 記録をつける: 行った種目、回数、時間を簡単に記録しておくと、モチベーション維持に繋がります。
- 完璧を目指さない: 調子が悪かったり、時間があまりなかったりする日は、無理せず軽めに済ませても構いません。「やらないよりは良い」という気持ちで取り組みましょう。
まとめ
リモートワーク中の体幹の衰えは、姿勢の悪化や体の不調に繋がる可能性があります。しかし、今回ご紹介したような特別な道具不要の自重トレーニングであれば、ご自宅で手軽に体幹を鍛えることができます。
体幹を強化することは、日々の快適さを向上させるだけでなく、全身の運動能力の向上にも繋がります。まずはご自身のペースで、ご紹介した種目の中から取り組みやすいものを選び、正しいフォームを意識しながら実践してみてください。継続することで、きっと体幹の変化を実感できるはずです。
自重トレーニングは、リモートワークによる運動不足解消の第一歩として最適です。ぜひ今日から取り入れてみてはいかがでしょうか。