呼吸を深める自重トレーニング:リモートワークの心身を整える自宅トレ
リモートワークでの心身の課題と呼吸の重要性
リモートワークが日常となり、通勤による自然な運動が減り、長時間同じ姿勢でいることが増えた方も少なくないかと存じます。これにより、体の凝りや運動不足を感じるだけでなく、知らず知らずのうちに心身の疲れが蓄積していることもございます。
そうした中で、手軽に始められる自宅での自重トレーニングは有効な解決策の一つです。しかし、単に体を動かすだけでなく、「呼吸」を意識することで、トレーニング効果をさらに高め、心身のリフレッシュにも繋げることができます。
リモートワーク中は、集中したり緊張したりすることで、呼吸が浅くなりがちです。呼吸が浅い状態が続くと、体は常に軽い緊張状態に置かれ、疲れやすさや集中力の低下を招く可能性がございます。深い呼吸は、リラックス効果をもたらし、血行を促進し、筋肉の動きをサポートするなど、様々なメリットがございます。
この記事では、リモートワーカーの皆様が自宅で手軽に取り組める、呼吸を意識した自重トレーニングの方法をご紹介いたします。特別な道具は一切不要で、どなたでも今日から始めていただけます。
トレーニング効果を高める基本的な呼吸法
トレーニングを始める前に、まずは呼吸の基本を確認しましょう。自重トレーニングにおいて特に意識したいのは「腹式呼吸」です。
腹式呼吸は、お腹を膨らませたり凹ませたりしながら行う呼吸法です。息を吸うときにお腹を膨らませ、息を吐くときにお腹を凹ませます。これにより、肺の下にある横隔膜が大きく動き、より多くの空気を取り込むことができます。
トレーニング中は、一般的に力を入れるときに息を「吐き」、力を緩めるときに息を「吸う」のが基本とされています。この呼吸と動作の連動を意識することで、筋肉をより効果的に使い、体への負担を軽減し、集中力を高めることに繋がります。
呼吸と連動させる自重トレーニング種目
ここでは、呼吸を意識しながら行うことで、より効果が期待できる代表的な自重トレーニング種目をいくつかご紹介いたします。全身をバランス良く鍛えられるように選んでおります。
1. スクワット(下半身、体幹)
スクワットは「キングオブトレーニング」とも呼ばれるほど、全身、特に下半身と体幹を効率良く鍛えられる種目です。呼吸と連動させることで、安定したフォームを保ちやすくなります。
- 動作:
- 足を肩幅程度に開いて立ちます。つま先は軽く外側に向けます。
- 息を吸いながら、椅子に座るようにお尻を後ろに突き出し、太ももが床と平行になるまで腰を下ろします。このとき、背筋を伸ばし、膝がつま先よりも前に出すぎないように注意します。
- 息を「吐き」ながら、太ももの力を使ってゆっくりと元の立ち姿勢に戻ります。
- 呼吸のポイント: 下ろすときに吸い、持ち上げるときに吐きます。深い呼吸を意識しましょう。
- 注意点: 膝や腰に痛みを感じたらすぐに中止してください。正しいフォームは動画などで確認することをお勧めします。
2. プッシュアップ(胸、肩、二の腕、体幹)
腕立て伏せとも呼ばれるプッシュアップは、上半身全般と体幹を鍛えるのに効果的です。通常のプッシュアップが難しい場合は、膝をついて行ったり、壁に手をついて行ったりするなど、負荷を調整してください。
- 動作:
- うつ伏せになり、肩の真下に手を置き、体を一直線に保ちます。(膝をつく場合は膝を床につけます)
- 息を吸いながら、ゆっくりと肘を曲げて胸を床に近づけます。
- 息を「吐き」ながら、胸の筋肉を使って体を押し上げ、元の姿勢に戻ります。
- 呼吸のポイント: 下ろすときに吸い、押し上げるときに吐きます。体幹を意識し、ブレないように呼吸で安定させましょう。
- 注意点: 腰が反りすぎたり、お尻が上がったりしないように、常に体を一直線に保つことを意識してください。
3. プランク(体幹)
プランクは、体の軸となる体幹を鍛える静止系のトレーニングです。深い呼吸を続けることで、体幹の安定性を高めることができます。
- 動作:
- うつ伏せになり、両肘とつま先で体を支え、体を一直線に保ちます。肘は肩の真下に来るようにします。
- 頭からかかとまでが一直線になるように意識し、お腹を軽く引き締めます。
- この姿勢を保ったまま、自然な呼吸(腹式呼吸を意識)を繰り返します。
- 呼吸のポイント: 姿勢をキープしている間、腹式呼吸で深く息を吸ったり吐いたりします。呼吸を止めないようにしてください。
- 注意点: 腰が落ちたり、お尻が上がりすぎたりしないように注意が必要です。呼吸が浅くならないよう意識しましょう。
4. バードドッグ(体幹、バランス)
四つん這いになり、対角線上の手足を同時に伸ばすことで、体幹の安定性とバランス感覚を養います。呼吸と連動させることで、より滑らかな動きと体幹の意識に繋がります。
- 動作:
- 四つん這いになり、手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きます。
- 息を吸いながら準備し、息を「吐き」ながら右手と左足を同時にゆっくりと地面と平行になるまで伸ばします。体幹がブレないように意識します。
- 息を吸いながら、ゆっくりと手足を元の位置に戻します。
- 反対側の手足も同様に行います。(左手と右足)
- 呼吸のポイント: 手足を伸ばすときに吐き、戻すときに吸います。呼吸に合わせてゆっくりと動作を行いましょう。
- 注意点: 腰が反ったり、体が横に傾いたりしないように、常に体幹を意識してください。
全身バランスを考慮した簡単なメニュー例
ご紹介した種目を組み合わせた、リモートワーカー向けの簡単な自重トレーニングメニュー例です。まずは無理のない回数から始め、慣れてきたら回数やセット数を増やしてみてください。
- スクワット 10回
- プッシュアップ(膝つきでも可) 可能な回数
- プランク 30秒キープ
- バードドッグ 左右交互に各5回
これを1セットとし、可能であれば2~3セット行います。セット間の休憩は1~2分程度取ります。各エクササイズ中に、必ず呼吸と動作の連動を意識してください。
無理なく継続するためのヒント
自宅でのトレーニングを習慣にするためには、いくつかの工夫が必要です。
- 短い時間から始める: 「毎日30分」のようにハードルを高くせず、「まずは5分」や「このエクササイズだけ」から始めてみましょう。
- 特定の時間に組み込む: リモートワークの休憩時間やお昼休み、仕事の前など、行う時間を決めておくことで忘れにくくなります。
- 呼吸だけでも意識する: トレーニングする時間が取れない日でも、意識的に腹式呼吸を行うだけでも心身のリフレッシュに繋がります。
- 記録をつける: 簡単なものでも、行った内容や時間、体調などを記録することで、達成感を得やすく、継続のモチベーションになります。
- 完璧を目指さない: 体調が優れない日や忙しい日は無理せず、できる範囲で行うことが大切です。
まとめ
リモートワークによる運動不足や心身の疲れを感じている皆様にとって、自宅で手軽にできる自重トレーニングは非常に有効な手段です。さらに、トレーニング中に「呼吸」を意識することで、その効果は何倍にも高まります。
ご紹介した呼吸と連動させる自重トレーニングは、特別な道具を使わずに全身をバランス良く鍛えることが可能です。正しいフォームと呼吸を意識しながら行うことで、筋力アップだけでなく、体の歪みの改善や心身のリフレッシュにも繋がります。
まずは、ご自身ができそうな種目から、呼吸を意識して取り組んでみてください。日々の生活の中に少しずつ運動を取り入れ、リモートワークでも健やかな体と心を維持していきましょう。